くそおやぢ
おはよう、諸君。
親孝行してる?
今朝も早から、TELが鳴った。
「おう、船の免許取るのに、反対スンナよ」
74になるおやぢからだった。
「別に反対してねえわ!」
どうやら、妹とおかんに「絵」を書かれたらしい。
先日の麻雀でも、六萬六萬八萬、4竹6竹7竹でリーチしちまうような視力。
それも、数回。
酔っぱらって、カネなし、必ずこけて擦りむいて帰ってくる運動神経。
言い出したら聞かんあの性格。
若いころに、バイクが欲しくて買ったものの、免許が受からんくて、教習所でブチ切れ、バイクは弟にあげてしまうという身勝手さ。
「いまなら、特別期間中で1万ひいてくれるっていっとるでチャンスだぞ」とか、わけわからん。
おかんもここ数日「また、変なこといっとるで!どこにそんなゼニあらな!」
オレは言ってやったんだ。
「今まで、好き勝手してきただで、やらしたらいいじゃねえか。どうせ受からんわ」
曇る表情のお母んにこう続けてやった。
「もし憂かったら、次、船だぞ、ありゃ。いつもケツはこっちで拭う羽目になるだで、知らんぞそんなもん。まあ。最悪、ちっこいボロ船買って与えときゃ、そのうち外洋まで出て行って、行方不明でち〜んじゃ。もし、救助されても、海はタダだでいいぞ。ああ、三重までむかえにいかんくちゃあかんがの。どうする?まあ、ガン桶だと思って、いいの買ってやれば?でも、GPSとかついとると、戻ってくるかもな。ああ、設定をめちゃくちゃにしとけばいいか」
そんなことを言われているにもかかわらず、まったく気にすることもなく「おい、カネ」とか言っているくそおやぢ。
中卒の彼は、50まえから「おれは、若いころから頑張った。だで、もう定年じゃ」と言ってからは仕事はしない。
ダンプにカマ掘っても「お前が悪い。枯葉マークに近づいたお前は、それでもプロか?」と言って帰ってくる。
当然、おやぢの軽箱は、前がぐっちゃり、廃車。
ダンプのニーさんが許してくれたからいいものの、高齢者の運転でヤケクソのぢぢいが、今度は海に出ようとしている。
政界をあきらめ、登山に屈し、今度は海か…
どこまでもアナーキーなオレのおやぢ、おれのルーツ。
まあ、行くとこまでイッタレや!!
ケツは、オレが持つ!!